八いつ賞2014
2014年度卒業設計提出作品
永井翔大 「皺の陰影:木下晋鉛筆画美術館」 蒲健太朗 「技術が繋ぐ道」 源慧大 「森の成長に合わせた住宅」
 
   小野竜也 「みえがくれするにぎわい」 斉藤孝治 「余白の色彩」 村瀬由伎 「瀬古みずや:土地に寄り添うまち」 
   
   藤井千裕 「記憶の重層:旧岩崎邸及び国立近現代建築資料館再整備計画-」 藤森喬 「_境内_ 再興:善光寺東門複合施設計画」  平松祐大 「海の道:宮島口-宮島フェリーターミナル再生計画」 
2014年度審査経過
審査員 長谷川寛(H02年卒)、篠原佳則(S62年卒)、山本和典(S56年卒)
審査員評
2014年度の八いつ賞の審査が2月26日に行われました。
 
 

今年で2度目の審査をさせていただきました。

卒業設計はこれまでしてきた設計課題と違い、自らテーマや敷地、プログラムまでセットする必要があり、それらを満足することはハードルが高いものです。興味深いテーマであってもフィニッシュまで行ってなかったり、プレぜ資料としてよくできていても卒業設計として問いかけているものが希薄であったりといった場合に、卒業設計のあるべき姿と評価のプライオリティをどう考えるか3人の審査員で議論をしました。
みなさんが1年をかけて取り組んだ集大成であり、指導教官である先生方と詰めてきた成果であり、そのプロセスにおいて貴重な経験をされているはずですが、われわれは3分程度の口頭説明及び目前の提出物で評価を行います。よって時間内に何をどのように説明するかは提出物と同様に大切なこととなりますが、それ自体は目的ではなく評価とは関係ありません。
私自身は、問題意識を持った課題が提示出来ているか、その結果出来たものは建築として魅力があるか、の2点を下記のように捉えてそれぞれをイーブンに扱い、その他にプラスの加点要素があるか、で採点しました。

課題:テーマとそのための敷地・プログラムの設定。問いかけるものがあるか
中身:建築の出来栄え。魅力を持った空間が出来ているか
見せ方:作図・説明の能力

結果、永井翔大さんの作品が一番高い点数となりました。敷地の選定や個人美術館としてのあり方の設定など必要なポイントをきちんと抑えられていましたが、他の作品より高得点としたのはそれをきちんと建築の空間に落とし込むところまで出来ていたことにあります。一方で影の使い方や建築自体の消し方などなどさらに魅力的になる余地は多分にあり、審査においてはその点が議論となりましたが、他の作品が完成度に関わらず分析したものをドローイングしただけというもので終わりがちであったことに対し、ゴールである建築空間の作り込みまできちんと行えていた、この点が「設計課題」としては譲れない一番の大事な部分であるということで満場一致で「八いつ賞」として選定しました。

長谷川 寛

 
歴代受賞者(敬称略)
  2014年度  永井翔大  皺の陰影:木下晋鉛筆画美術館 
  2013年度   ?
  2012年度  中村友亮  ? 
  2011年度  古賀春那  esplanade market ―福岡・姪浜漁港再整備計画
2010年度 (奨励賞) 国本築永 TRASPORTABLE EMERGENCY ROOM 
  2009年度 杉野友香  碧の海に住まうこと 都市とわたしのスキマ 
2008年度 加藤祐樹 PARK TERMINAL
2007年度 山口智三  Learning from Catastrophe -災害資料館計画-
2006年度 森田 慧 Stoa Flora
2005年度 福田純一 HIROSHIMAの記憶
2004年度 浅見泰則 水の駅
2003年度 谷田侑美子
2002年度 安藤由里子 Flower Factory MUseum
2001年度 平野章博 飛鳥の架橋
2000年度 置塩淳夫 TRANSTATION
1999年度 並松史郎 Cultivation-space 定年帰農者の農村
1998年度 若見招子 CHILDREN PATH PROJECT
1997年度 該当者なし
1996年度 原 優子 TERMINAL STUDENTS CENTER
1995年度 大西高広 Yacht Workshop
1994年度 大崎太郎 MEDIA NORD in NAGOYA